Vol.4-9 ベトナム縦断
2005/04/29-05/08

  

5月6日(金)

目が覚めても窓の外は暗かった。途中どこかの駅に止まった時、かすかな記憶で、僕の上段の人が男性に入れ替わったのを覚えてはいるが、それ以外は深い眠りについていたようだ。時計を見ると朝の4時30分。時刻表によると、あと30分でホーチミンに着くはずなのだが。かすかに明るくなり始めた車窓に目をこらして見ても、まだ街に近づいてきたという感じはしない。

出発の1時間遅れを取り戻そうとしないまま、そのまま1時間遅れでホーチミンに到着した。ダイ君家族に 「グッバイ!」と挨拶をしてホームに降りた。だだっ広いホームだが、大きな荷物を持った人たちが流れている。さながら帰省ラッシュで田舎に帰ってきた人たちが、都会に戻ってきた様な雰囲気だった。僕も何となく戻ってきたんだなという安心感を感じていた。

駅を出ると、相変わらずバイタクの誘いがうるさいが、地図で見る限り、デタム通りまでは2キロほどなので歩いていくことにした。まだ朝の7時前だというのに、駅前から続く道は既に活気に溢れていた。食材を売り歩く屋台が行き交い、バイク屋は朝から修理に忙しそうだ。学校の前をとおると、子供達は既に朝礼の真っ最中。近所の人たちでいっぱいのフォーの店で朝食をとり、3人乗りはあたりまえのバイクが押し寄せる道を、キョロキョロしながら歩いていく。

デタムでの宿、とりあえずフエのホテルでもらったカードの所へ行ってみた。しかしあいにく満室だそうだ。近くのホテルに入って聞いてみるが、ここも満室。同じ系列のホテルを紹介すると言ってきたが、地図を見るとずいぶんな距離、デタムに遊びに来るのもバイタクでないと大変そうなのでお断りした。次は少し高いが前回泊まったホテルに行ってみる。フロントの女性は前回とは別の人だったが相変わらずアオザイ姿は美しい。部屋も空いており、シングルなら15ドルの部屋もあるようだ。早速部屋を見せてもらうと、さすがに前回の25ドルの部屋とは違い“狭い”。小さな窓が一つにシングルベットが二つ。バスタブ無しのホットシャワーのみ。でも洗面所やトイレの掃除は行き届いているし、まあ2泊だけなので決めることにした。

ホーチミンでの予定は全くない。デタム通りには、旅行会社がカフェをやっているのか、それともカフェが旅行会社を始めたのか、そんな兼業カフェでベトナム名産のコーヒーを飲みに入ってみる。ベトナムコーヒーといえばポタポタとドリップから落ちるコーヒーを待ち、たっぷりの甘ーいコンデンスミルクと混ぜて飲むホットコーヒーが旨いのだが、メニューにあったアイスコーヒー。もしかするとパックのアイスコーヒーではなく、その旨いホットコーヒーを氷で冷やした物ではないかと、初めてアイスコーヒーを注文した。しばらくして出てきたコーヒーは、ミルクと混ざってはいたが、氷いっぱいのグラスに入っている。一口飲んでみると、まさしくベトナムコーヒーの味。“やった”と思わず小さくガッツポーズが出てしまった。しかし、ホットでチビチビ飲むにはいいが、アイスをグビグビ飲むにはちょっと濃いし甘すぎる。持っていたミネラルウォーターで薄めながら飲むと、丁度良い感じになり、量も増えたっぷりと味わうことが出来た。 カフェでアイスコーヒーを飲む時は、ミネラルウォーターが必需品のようだ。

ホーチミンでの見所・興味のあるところは前回行ってしまったので、今回は本当に当てがない。当てがないままホーチミンの街中を歩く。通ったことの無い道はたくさんあるので、歩いてはみるが、外国人観光客どころか、現地の人も歩いていないような路地にでると、心臓がすこしドキドキしてくる。たいがいそんな所の道は、お店や見るところも無いので、早歩きで通り過ぎてしまうだけだ。

日本人観光客でいっぱいのドンコイ通りを歩いていると、道端にヤシの実ジュース売りの少年が座っていた。ちらっと目が合うと「冷たい、美味しい」と言ってきた。ペットボトルの水は既に生ぬるくなってきたので「ハウマッチ」と聞くと、返ってきた答えは15000ドン(105円)。いくらドンコイ通りでも、それは高いだろう。僕はいらないと、また歩き出した。
100mくらい歩くと、その少年が追いかけてきた。「10000ドン、安い!」と言ってくるではないか。僕としては、初めから10000ドンだったら買っていたかもしれないが、今更10000ドンで買うつもりはない。「エクスペンシブ、5000ドン」 とこちらが言うと7000ドンと下がってくるが、 ここで妥協は出来ない。再びいらない素振りをすると、ついに「OK5000ドン」と言ってきた。僕はなぜ初めから5000ドンと言わないのかと聞いてみたが、僕のでたらめな英語が通じないのか、返事は無言であった。
15000ドンは約105円、日本で買えば高くない値段だが、ここはベトナム。物価や収入で考えれば、日本の10分の1以下だと思う。今開催中の愛・地球博の会場で売られているヤシの実ジュースは700円。観光地価格で2倍とすると350円。その10分の1の35円は5000ドン。まあこんなところが適正価格なのでは無いだろうか。
ところで味はどうだったって。確かに冷たかったが、量が少ないし、甘ったるく、水で口を濯いでしまったほどだった。

夕方6時、ベンタイン市場の店が片付けを始める頃、市場の横に10軒ほどの飲食屋の屋台が営業を始める。どの店も中華料理とかベトナム料理とかという決まったメニューではなく、何でもありのような、多国籍料理といった感じである。その中でも海鮮物が多い店や、麺類が豊富な店といった特徴はあるようだ。 大概は店の前に英語のメニューが置いてあるので、料理の種類と値段が分かるので安心である。
一回りして様子を伺うと、お客でいっぱいの店があると思えば、ガランとしている店もある。メニューを見て食べたいものがあっても、あまり客のいないところにはいるのは躊躇してしまう。結局半分くらいはお客が入っているところで、炒飯などの安い料理で終わらせてしまっている。
また初めに出てくる“おしぼり”を使うと、余分に1000ドン取られるので、ちょっと通ぶって、そのおしぼりを返してしまう。でも廻りのベトナム人は結構使っている、何か逆のような気がするんだけどな。

帰省ラッシュのようなサイゴン駅
サイゴン駅近くのフォーの店で朝食
いろいろな色の麺を売っている
「SINH Cafe」「GON Cafe」「SaSa Cafe」と並んでいる
パンダのカバーが可愛い15ドルの部屋
ベンタイン市場横の屋台街



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